毎日発酵生活~「寿司の起源」と「大好きなバッテラ」と「愛媛の丸すし」の話

鯖のバッテラ すし善 蕾亭 札幌 発酵

私は,バッテラが大好きなのです。むか~しむかし,若かりし頃,長崎の五島列島で食べた「鬼鯖の棒寿司」。シャリの上に乗っている鯖の身の厚さに仰天したことがあって,もちろんとっても美味しかった。一緒に食べたIさん!五島の海,きれいだったね。はやく元気になってね!!

五島の分厚い鯖の棒寿司も感激でしたが,私,この薄めのバッテラも意外と好きなのよね~。どっちも好きよ。焼き鯖寿司も好きだし!!

バッテラというのは,酢で締めた鯖の押し寿司です。上に,甘酢で煮たうす~い昆布が乗っています。発祥は,大阪なのですってね。知らなかった。もともとはコノシロ(コハダ)でつくっていたらしい。この寿司の形が小舟(ポルトガル語でbateira)に似ていたからバッテラの名がついたそうです。

酢を使うと腐敗防止になるということは,前回の「鱒の寿司」でお話しましたので割愛し,今回は,寿司の起源について。

寿司のルーツは,「熟鮓(なれずし)」にはじまります。魚を塩とご飯で発酵させたもので,米の伝来とともに伝わりました。今の寿司との違いは,酢を使っていないということと,魚そのものをご飯を利用して発酵させたということです。この発酵は,乳酸発酵ですね。乳酸発酵により,乳酸という酸が出て,酸の抗菌作用ができる。もちろん,塩も腐敗防止作用があります。塩漬けにした物は腐らないですよね。漬け物もそう。基本,塩分が全体量の12%以上になると腐敗はおこりません。この熟鮓(なれずし)の代表的なものが滋賀の「ふなずし」です。琵琶湖のニゴロブナを使ってつくります。もうね,すごい匂い。酒好きじゃないと無理なんじゃないかな。私は,この匂い,いけますよ(笑)!!(この匂いや独特な旨味を生み出しているのは,乳酸発酵によるものというより,魚自体の持つ酵素の作用によるところが大きいかな。まあ,その要因は一つではないし,発酵も乳酸発酵だけではなくていろんな微生物の働きが含まれているはずです。でも,全ては解明されてはいません)。

で,ご飯ではなくて,米麹を使ったものもあってね,これは「いずし」というものです。北海道にも有名ないずしありますよ。鰊のいずしとかね、おいしい!千切りにした人参とかも入れるよね。これも乳酸発酵してるから,ほんのり酸味も感じます。ああ、食べたい!!日本酒と!

そう,お寿司ってもともとは,ご飯の上に魚を乗せるものではなくて,魚をご飯や麹で発酵させたものだったのですね。今の一般的な寿司のかたちができたのは,江戸時代中期。酢が一般化してきたので,魚を発酵させる必要がなくなったからなのであります。

余談ですが,新鮮な魚介がたくさんの北海道に住む私ですが,寿司は江戸前が好きです。ちょっと熟成させたり,ひと仕事加えることによって,本当に旨味が引き出されるよね~。私は,美味しい寿司を食べると,表情が大泉洋さんのようになる・・・。わかるかな?美味しい物を食べたときのあの大泉洋さんのお顔(笑)。嗅覚なども最大限に働かせて美味しさを感じ取りたいからあの顔になるのよ!!

さて,このバッテラも,ひと仕事どころか,手間かかっているよね~。う~ん,美味しかった~。こちらは,札幌でも超有名な「すし善」のテイクアウト専門店「蕾亭」のものでございました~。

鯖のバッテラ すし善 蕾亭 札幌 発酵

鯖のバッテラ〈札幌-すし善(蕾亭)〉

 

あ,日本には,こんな面白い寿司もあります↓。

まる寿司 愛媛 発酵 札幌

まる寿司〈愛媛〉

これ,下は,ご飯じゃないんですよ。なんと「おから」。

米に恵まれなかった南予の沿岸沿いでは,米の代わりにおからを使ってお寿司にしていたのだそう。コロナ前の四国発酵旅行の際に,愛媛では,絶対「丸すし」を食べる!と決め,提供している店を探しました。大当たりで,全ての料理が美味しかったし,お酒もこんな感じ↓で,初めてその酒を飲む身としては説明書きが有り難い!!先入観を持たずに,自分の感覚でまず味わってみる。そして,この説明書きを見てからもう一度口に含んで確かめてみる・・・楽しいわー。ああ、また行きたいなあ・・・。

まる寿司 愛媛 発酵 札幌

賀儀屋 純米吟醸

いやね,発酵を知れば知るほど,旅行も本当に楽しさ100倍ですよ。コロナよ,はやく去ってくれ~!!!