「竹鶴を呑みながらピアノ弾いたりNIKKA愛について語ったりします」(↓↓↓クリックで動画再生します。)
文章最後に「ショパン幻想即興曲フルバージョン」もあります!!
発酵オタクの私は,何を見ても発酵と結びつけて考えるクセがあります。
このコーナーは,私,土方が日常のなにげないところでみつけた発酵をテーマに,私の脳内で広がった発酵ワールドを文字におこしたものであります(けっこう自己満足のマニアックな話になることも多々です)。
今日のテーマは,「熟成でウイスキーも私のピアノもうまくなる!?」です。
発酵と熟成,よく同時に使われたり,同義語的に使われたりすることがあります。
私の生徒さんにも「発酵と熟成の違いはなんですか」と聞かれることがあります。発酵と熟成の違いは,その食品によってその言葉の使い方はまちまちなのですが,たとえば,ウイスキーづくりを例にすると,こうです。
発酵・・・麦汁に酵母菌が入り,アルコール発酵している状態。アルコール発酵とは,酵母菌が原料中の糖を食べてアルコールと二酸化炭素をつくり出す発酵のこと。ウイスキーづくりですと,酵母菌が麦汁の中の麦芽糖やブドウ糖を食べて発酵します。
ウイスキーづくりでは,上記の発酵でできた液体を蒸留してアルコール濃度を高くします。その液体は,続いて長期熟成期間に入ります。
熟成・・・蒸留した液体を木樽に移し,長期寝かせている状態を指します。ここにはもう発酵菌たちの活動はありません。では,樽の中で何が起こっているのか。木樽に入れるので当然木樽の香りがつきます。そして,そこの風土がウイスキーの味をつくっていきます。液体中のバラバラだった味は馴染み,まろやかさが増します。水分も蒸発していき,コクも出てきます。カレーやシチューでいうと,作りたてより二日目のほうが美味しいのと同じようなものです。つまり発酵菌は関わっていないけれども,さまざまな力が働いて美味しくなるのが熟成なのです。
イカの塩辛や熟成肉は,そのイカや肉そのものが持つ酵素によって自分自身のタンパク質がアミノ酸に分解されることによって旨味が増します。これも,発酵ではなく熟成と呼びます。
もちろん,一つの食品の中で発酵と熟成が同時進行しているものもあります。実は,熟成のメカニズムは,科学でわかっていない部分も多いのです。
さて,私ごとですが,コロナ禍で,模様替えなどしましたら,ここ数年触っていなかったピアノを触りたくなったのであります。で,子どもの頃弾いていた曲を少し練習してみました。もちろんかなりのブランクがあるので指は昔のようには動きません。でも,毎日5~10分くらいは触るようにしていたら,あるとき遊びに来ていた母が,びっくりしているのです。「なんか,昔よりすごく上手い!!」って。子どもの頃より絶対に指は動いていないのです。でも聴く母にとってはずっと上手に聴こえるって。「昔のあなたのピアノはショパン弾いても行進曲に聴こえたけど,今はちゃんとショパンに聴こえるわよ!」ですって(笑)。
そう,私のピアノは,長期熟成期間を得て,どうやら美味く,旨く,いえ上手くなったようなのです。指はよく動いても,酸いも甘いもわからない子どもが弾くショパンは,隙間だらけのガチャガチャしたものでした。「子犬のワルツ」も「中型犬のケンカ」にしか聴こえないみたいな(笑)。
今の私が弾くショパンが,子どもの時に弾いたショパンより上手くなっているとしたのなら,人生経験も積んで,水分も抜けて(ウイスキーでいう天使の分け前ね。水分抜けて私は皺が増えたけど)コクや人間味もきっと増したであろう今の私の状態がピアノに表現されたのだと思います。そして,自分でも感じるのは,ピアノが嫌いだった子ども時代と違って今はそこに「私はこう弾きたい」という心があるのです。
もちろん,素人の腕前であることには変わりませんが,私の中では,熟成という大きな成長を感じ,嬉しくなりました。年を重ねるのも悪くないな。もっと上手に弾けるよう,これからも熟成は続く。目指せ100年もの!!
よし,毎日ピアノを聴かせたら,我が家の手前味噌も美味しくなるかな。ショパンよりモーツァルトの方がいいかな・・!?
「ショパン幻想即興曲フルバージョン」の動画です。素人のピアノを聴いてみたいという稀有な方(笑)は,以下をクリック↓↓↓