なんでも発酵!!~本日ジェラートの日~牛乳のパスツリーゼーション

富良野チーズ工房 アイスクリーム工房 hacco 札幌

本日,8月27日はジェラートの日です。

富良野チーズ工房 アイスクリーム工房 hacco 札幌

バニラとかぼちゃのジェラート/富良野チーズ工房の敷地にあるアイスミルク工房にて(いつかの夏?に撮影)

どうしてジェラートの日なのかな?いろいろゴロをこじつけてみたが,当てはまらない。調べてみたところ,1953年8月27日にアメリカで「ローマの休日」が公開された日だからだそうです。観たことのある方ならピンときますよね。オードリー・ヘプバーンがローマのスペイン階段で,ジェラートを食べるシーンは印象的でした。

ということで,ゴロあわせを考えていた時間は無駄でした(笑)。

実は,私,ジェラートの本場イタリアで,ジェラートの研修を受けたことがあります(1日ですが笑)。

Massimo Conti先生は,とても熱心でキュートなジェラートづくりのスペシャリストでした。

私は,ジェラティエーレを目指していたわけではなかったのですが,研修はとても興味深く面白いものでした(イタリア菓子やエスプレッソコーヒー・ワインなどを勉強するプログラムの1つに組み込まれていたのでした)。

イタリア 

この丘の上の城を含む施設が研修場所。朝,宿泊施設からこの坂を歩いて向かうの。

イタリア

遅くまで学んで,宿泊施設に戻る。楽しかったな。

 

Massimo Conti先生は,頭がキンキン痛くならないジェラートをどうつくるかを熱心に解説してくださったのを覚えています。

本場イタリアのジェラート hacco 札幌 札幌

イタリアでのジェラート研修でつくったジェラート~なめらかで美味しかった~♡

 

ヨーロッパでは常温保存の牛乳が普及

それともう1つこの講座で印象的だったのが,使う牛乳常温だったことです。日本では,牛乳はほとんどが冷蔵のものを使いますよね。

ヨーロッパでは,国にもよりますが,牛乳は,常温で販売されているものが多いと聞きました(イギリスやアイルランド,北欧諸国などは別です)。ロングライフ牛乳(LL牛乳)といい,日本よりも広く普及しているようですね(日本のように冷蔵の牛乳もあります)。未開封であれば常温なのに長期間持ちます。もちろん開封後は冷蔵ですよ。日本も豆乳は常温保存できるものが多いですよね。

なぜ,ヨーロッパでは常温保存の牛乳が多いのかというと,流通の関係や調理に使う頻度も多いので日本ほど冷たさを求めていないのかもしれません(そのまま飲むときは冷やしたものを飲むのでしょうが)。逆に日本で常温保存の牛乳が流行らないのは,その一つの理由として,牛乳は飲むものとして買っていることが多く冷たい方が新鮮で美味しいというイメージがついているからかもしれません。あと,つくる側のコストの問題もあるのでしょう。

そして,なぜ常温でそんなに長期保存できるのか。今日はその話がメインです。

牛乳の殺菌方法~パスツリーゼーション

食品を腐敗させたり,食中毒を起こさせたりするのは,微生物(菌など)のせい。

一般の病原微生物は,温度を100℃にすれば5分間で完全に殺菌できます(芽胞のある細菌はこれにはあてはまらない。怖いボツリヌス菌とかね。良い菌の納豆菌もそうね)。でも,高温で変質するものは(固まるとか風味が抜けるとか),60~80℃の低温で,30~60分加熱する方法がとられます。酒・ビール・牛乳などに行われる方法です。この低温殺菌法パスツリーゼーションといいます。フランスの微生物学者ルイ・パスツール氏の考えた方法がもととなっているからです(パスツールは,ワインの変敗防止のために開発)。ルイ・パスツール!!そう,微生物を勉強している者にとっては神!!。発酵オタクの私にとってもね。で,牛乳もこの方法で殺菌すると栄養価や風味が損なわれることなく美味しい。でもね,これだと死なない菌もいるから時間を置くと増殖の恐れがあり心配・・・。

日本は超高温瞬間殺菌法の牛乳が主流

温度が低いと,全ての菌をやっつけられるわけではないので,流通には不安。なので,日本では,超高温瞬間殺菌法(UHT法)の牛乳がメインです。家にある牛乳の側面に何度何分か書いてあるので,見てみて!!今、我が家の成分無調整牛乳を見たところ,「130度2秒」となっていました。

牛乳の殺菌法

牛乳の殺菌方法の主なもの

L(Low)/H(Hight)/T(Temperature)/S(Short)/L(Long)/T(Time)/U(Ultra)/LL(Long Life)

 

ヨーロッパは,ロングライフ牛乳が多い

で,ヨーロッパでは,ロングライフ牛乳(LL牛乳)が広く普及しています。ロングライフ牛乳とは,超高温瞬間殺菌法(UHT法)で殺菌したのち,光と空気を遮断できる密封容器に無菌状態で充填してつくる牛乳で,常温で日持ちします。日本は技術的にこの方法ができないのではないのですよ(豆乳はロングライフ商品が多いでしょ)。ロングライフ牛乳も,もちろん日本でもつくられています(1985年にUHT法と無菌充填の方法を組み合わせてつくられた飲用乳は常温保存可能品として認可されました)が,ヨーロッパほどのシェアはありません。でも,東日本大震災を機に関心が高まっているようですね。確かに,災害の多い日本では,ストックしておくとよいなと思います。

本場イタリアのジェラート hacco 札幌 札幌

イタリアの牛乳
sterilgardaは,UHTやテトラパックを積極的に取り入れている先駆者的なイタリアの企業。UHT牛乳や生クリームの生産で世界でも有名。

本場イタリアのジェラート hacco 札幌 札幌

イタリアの生クリーム
UHT a lunga conservazione
UHT~長高温瞬間殺菌法/a lunga conservazione ~長期保存

 

イタリアの菓子は,ジェラートに限らず,どれもクオリティが高くて本当に美味しかった。1ユーロ払えば,あちこちで気軽にエスプレッソを飲めるのも嬉しかった(席につくと3~4ユーロ)。

イタリア エスプレッソ hacco 土方夕暉 札幌

イタリアでは,あちこちで1ユーロでエスプレッソが気軽に飲めます

イタリア行きたいなあ・・・美味しいワインにチーズ楽しみたいなあ・・・(ジェラートじゃないんかい笑)。

 

ヨーロッパには低温殺菌の牛乳ももちろんあるので,それも味わってみたいないな。イギリス・アイルランド・北欧諸国はむしろ低温殺菌が主流のようです。日本でもたまに飲むけどね。

フランスで低温殺菌牛乳を飲んで(フランスは低温殺菌牛乳少ないけれど)パスツール(仏)に思いを馳せたい!いや,やっぱりワインを飲んで馳せたい(けっきょく酒かいっ笑)。

 

(2021.8.28.一部修正)