発酵オタク・菌オタクの私は,何を見ても発酵や菌と結びつけて考えるクセがあります。
このコーナーは,私,土方が日常のなにげないところでみつけた発酵や菌をテーマに,私の脳内で広がった発酵&菌ワールドを文字におこしたものであります(けっこう自己満足のマニアックな話になることも多々です)。
さて、この中↓の発酵食品は・・・ピザのチーズですね。チーズは、乳酸菌による乳酸発酵でできます。
乳酸菌は、細菌類に分類されます。
でも、今日は、チーズの話でも細菌類の話でもありません。ピザの奥↑に見えているスパゲッティの具材のポルチーニやキノコ全般の話です!
キノコは、真菌類
ポルチーニ大好きです。ポルチーニは、イタリア料理によく使われるキノコですね。
では、まずは、キノコの話をしましょうか。
キノコは、真菌類に含まれます。発酵で活躍する麹菌(麹カビ)などのカビや酵母菌も同じ仲間の真菌類です。つまり、麹菌や酵母菌は、同じく発酵で活躍する乳酸菌(細菌類)よりも、キノコとの方が近いということが言えますね。
真菌類ーカビ(麹菌・アオカビなど)
キノコ(松茸・椎茸・ポルチーニなど)
酵母菌(パン酵母・酒酵母など)
細菌類ー(乳酸菌・大腸菌など)
ちなみに、同じ真菌類でもカビやキノコは、胞子で増えますが、酵母菌は分裂で増えます。
では、胞子で増えるカビとキノコの違いは・・・胞子をつくる器官(子実体)がはっきり目に見えて、それがいわゆるキノコの形をしたものがキノコ、そうでないものがカビです。キノコの細〜い菌糸は地中にあり、それは、カビの菌糸と同じようなものです。麹カビのあのホワホワして見えるのも、菌糸です。
カビとキノコは、かなり近い微生物だということが分かりますね。
ポルチーニ・・・日本のスーパーにもあると嬉しいのに
さて、ポルチーニですが、イタリア料理でパスタやピザに使われていると、本当に香りがよくて、美味しいですよね!他のキノコでは代用がきかないんですよね。日本でも、もっとシメジやエノキやマッシュルームみたいに手軽に入手できればいいのにといつも思います。
ポルチーニは、ポーランドやイタリアが産地として有名ですが、日本にも存在します。日本では、ヤマドリタケと呼ばれています。でも、あまり出回らないですよね。
それは、なぜか・・・
美味しくて、値が高くて、入手困難なポルチーニ・・・同じく、松茸やトリュフもそうですよね。
この3つに共通するのは、菌根菌であり、人工栽培ができないんです。だから、稀少で、値が高いんですよね。
ではなぜ、この3つが人工栽培できないのかというと、特定の木の根に菌根を侵入させてその木と共生して存在しているからなのです。
それに対して、人工栽培できるキノコというのは、木材腐朽菌と言います。木材の組織を分解して栄養源にしており、その木は生きている必要がないため、人工栽培可能なのです。
でも、ポルチーニも松茸もトリュフもやっぱりたくさん食べたいなあと思いますよね・・・実際、その研究を頑張ってくれている人たちがいます!
だからいつか、近所のスーパーにも、他のキノコと同じように100円で並ぶ日が来るかもしれませんね。
発酵研究家/発酵翻訳家/発酵料理人:土方夕暉(札幌)~発酵への探究心と発酵愛は北海道No.1!と自負(^^)/