何やら,話題の「かじるバターアイス」(赤城乳業),食べてみましたよ。ふだん,あまり自分でアイスクリームは買わないのだけれど,このパッケージの昭和感が一周まわって,かわいくてオシャレで,なんだか手に取りたくなっちゃったの。そして,決め手は,発酵バター使用っていうこと!
食べてみましたよ。コクがあって,バター感はすごくあるのだけれど,でも思ったほどくどくない絶妙なところをいっていて,とても美味しかったですよ。
やはり,このコクは,発酵バターだから?
バターと発酵バター
バターは,牛乳から分離したクリームを攪拌し,錬るなどして脂肪分を固めたものです。家でも,生クリームを瓶に入れてひたすら振るとか,ミキサーに入れて混ぜるなどすれば割とカンタンにできます(それをしないのは,割高になるから)。
普通のバターに対して,クリームの状態の時に乳酸発酵させるのが発酵バターです。
写真↓のトラピスト修道院(北斗市。函館のお隣)のトラピストバターは,発酵バターです。材料は「クリームと塩」のみです。あ、この「かじるバターアイス」が,トラピストバターを使っているわけではありませんよ。並べて撮影しただけです。
ヨーロッパのバター
もともとバターは,すべて発酵バターでした。起源は,ヨーロッパで,紀元前からあったとか。古来のバターは,技術が未熟で,自然に発酵が進んでしまいました。もともと発酵しちゃったバターが普通だったので,ヨーロッパでは,今も,発酵バターが多く使われています。
日本のバター
一方,日本でバターが広がったのは,13~14世紀。その頃には,技術も進歩して,発酵させないバターもでき,それが入ってきたので,日本では発酵していないバターが普通に広がりました。
今も,圧倒的に,非発酵バターの方が多いですが,発酵バターのコクや風味のよさなどの魅力に気づき,今,発酵バターがじわじわと増えつつあります。現代となっては,発酵バターをつくるほうが,手間がかかるのですけどね。
日本酒でいうと,生酛造りから速醸造りになり,今また生酛造りに挑戦!みたいな感じでしょうか。
私は,料理・菓子・パンづくりなどで,バターの風味を前面に出したいときには,発酵バターを使っています。
ということで,アイスからの発酵バターの話でした。
発酵研究家/発酵翻訳家/発酵料理人:土方夕暉(札幌)~発酵への探究心と発酵愛は北海道No.1!と自負(^^)/