発酵オタク・菌オタクの私は,何を見ても発酵や菌と結びつけて考えるクセがあります。
このコーナーは,私,土方が日常のなにげないところでみつけた発酵や菌をテーマに,私の脳内で広がった発酵&菌ワールドを文字におこしたものであります(けっこう自己満足のマニアックな話になることも多々です)。
今日は,北海道開拓の礎を築いた榎本武揚と,発酵です!! 長文です。幕末史,北海道の開拓史,発酵(といっても今回は,発酵の詳しい解説はナシ)に興味の無い方・・・読まない方が無難です笑。
正月に,私の大好きな「NHK大河~新選組(三谷幸喜作)」の続編「土方歳三 最期の一日」が再放送されていたので観ていました。何度も観ていますが,これまでは土方歳三ばかりを観ていたのね。山本耕史演じる土方がかっこよくってね。
でもね,今回,すごく興味を抱いたのが榎本武揚です。何度も観ているおかげで他のことにも注意がいくようになったの(^o^)。
ドラマ「土方歳三 最期の一日(三谷幸喜作)」の榎本武揚
興味深かったのが,函館五稜郭での土方との以下の会話。
【ブドウ酒編】
榎本「日本の酒とブドウ酒のいちばんの違いがわるかね?」
「それは,つくり方だ。米はほうっておいても酒にはならないが,ブドウはブドウ酒になる。ブドウには,それ自体,発酵させる成分が含まれているわけでね,その意味では,この酒は,実に理にかなった産物というわけだ。」
「いずれ日本でも,ブドウ酒がつくられるようになる。特にこの蝦夷地は,ヨーロッパの風土に似ているからもってこいだ。やがては,この地でつくられた我々のブドウ酒が世界で飲まれるようになるかもしれん。」
【チーズ編】
榎本「見たまえ,この豊かな広々とした土地を・・・」
「私はこの地を踏んだとき,ここなら新しいくにを生み出せるに違いないと思った。」
「私は,戦が終わったらこの地で牛を飼うことにしていたんだ。何万頭もの牛だ・・・牛の乳を飲んだことがあるかね?・・・西洋人にとっては,それは大きな滋養の源だ。」
「そしてその牛の乳からはバターやチーズがつくられる。」
「(土方「チーズ?」)・・・さっき食べたサンドウィッチの中に挟まっていたものだ。うまかったろ?」
「やがてはこの国の人々もそれを食するようになるだろう。」
「その日のために私はこの地に牧場をつくり,牛を育てるつもりでいた。」
「この広い大地を開拓し,農業や牧畜を盛んにして人々を豊かにする。」
「そしてやがては,薩長がつくるくによりもはるかに我々のつくるくにをすばらしいものにしてみせる。」
「・・・すべては,夢に終わった。」
どの言葉も,胸にぐぐっとくる。榎本さん,北海道はあなたの思い描いたとおりになりましたよ!!
蝦夷共和国としては半年で幕を閉じたけれど,あなたのその後の尽力のおかげで,北海道は,農業・酪農王国になりましたよ!
なんといっても食糧自給率200%の最強のくにですよ!!
そして,話に出てきたブドウ酒もチーズも発酵がからんでいるというのが嬉しいわ~!!(ってまあ,三谷幸喜さんが考えた台詞ですけどね。)
函館戦争後の榎本武揚
それでですね,榎本武揚に興味を抱きはじめた自分ですが,最初の疑問,「最後まで新政府軍に反抗したのにも関わらず,どうして処刑を免れたのか」
これはですね,黒田清隆の嘆願もあり,あまりにも優秀なので新政府側にとっても,役に立つ人物と見なされたためです。釈放後は,黒田清隆について北海道開拓を推し進めます。
そして,北海道開拓だけでなく,その後も様々な分野で功績を残しています。
・ロシアとの樺太・千島交換条約の成立
・逓信大臣(郵便マーク〒は榎本のアイディア)/農商務大臣/文部大臣/外務大臣
・東京農業大学の創始者
東京農業大学って,発酵を学ぶものからすると憧れですよ。その創始者だったとは!!
そして,今日,コーヒーを飲んでいて,「榎本さんの性格ならコーヒーも嗜んだろうなあ」と思い,ちょっと調べてみると,
「国産コーヒーの父」でした!あっぱれ!!ちなみに,コーヒー豆も発酵の工程を経てつくられるものです。
まとめ
近代日本や北海道の礎を築いた歴史上のすごい人物なのに,それほど人気がないのが悔しいね。みんなが好きな人物ってのは,やっぱり,非業の死を遂げた人たちが多いよね・・・美化できちゃうもんね。
でも,榎本はね,けして新政府に寝返ったずるい人なわけではありません。仲間の命と引き替えに自刃しようとしましが,部下に制止されました。そして,新政府軍の指揮官である黒田清隆の「新しい日本のために貴殿の知識を生かしてほしい」という説得により自決せずに降伏したのです。敵でありながらも,榎本のその才を認め、命をかけて守ろうとした黒田清隆もただものでないですよね。
また,戦況厳しく,負けを悟った榎本は,オランダ留学時代から肌身離さず持っていた『海津全書』が戦いの中で失われるのを避けるために新政府軍に送り託したそうです。そのことからも,負けて自分が死んだ後の日本全体の未来を考えていたことがわかります。
非業の死を遂げた坂本竜馬や土方歳三が大好きな私でしたが,
今回,生き延びて数え切れないほどの功績を残した榎本武揚に,敬意とともに親近感を抱き,すっかりファンになりました!!
だって,ブドウ酒もチーズもコーヒーも東京農業大学も・・・すべて発酵が関係してる!!そして,私の愛する北海道をつくってくれた人!ですもの!ありがとう榎本さん!!
ちなみに,私のふるさとは,榎本武揚が蝦夷共和国をつくった函館。
そして,以前,勤務していた小学校のあたりは,榎本武揚がつくった榎本農場があった土地でした。近くに榎本公園もありました。・・・って勤めていたときには,知らなかったわ~・・・笑。
たくさんの榎本さんの功績が近くにある!でもぜんぜん知らないで生活してきました。私の日本史好きは,これまで江戸時代(戊辰戦争の終結)で幕を下ろしてしまっていたから。歴史好き,あるあるです(笑)。
早速,本を購入したので,これからきちんと学びたいと思います。
では,最後に,
土方と榎本とのラストシーン(ドラマ)を紹介
土方「榎本さん,あんたこそ死ぬんじゃねえぞ。生き延びてこの地に夢の華を咲かせろ。この大地を開拓するんだよ。そして何万頭もの牛を飼ってチーズをつくれ!そんなこと、あんたにしかできやしない。」
土方かっこいい!!
って結局,土方かいっ!笑。
発酵研究家/発酵翻訳家/発酵料理人:土方夕暉(札幌)~発酵への探究心と発酵愛は北海道No.1!と自負(^^)/