出かけていたため,今日は,遅めのランチとなりました。
大好きな鯖寿司を買ってきたので,ちょうど砂抜きしていたアサリでちゃちゃっとお吸い物を作って,いただきました♡。
鯖の腐敗がはやいワケ
鯖は,生で刺身としてはめったに食べないですよね。それは,鮮度を保つのが難しい魚だからです。「鯖の生き腐れ」と言われるほど,腐るのがはやいのです。
同じ,青魚であるサンマやイワシも,よほど新鮮でないと刺身にできませんよね。
では,なぜそんなに腐りやすいのか。それは,青魚の持つ酵素によります。
鯖をはじめ,これらの青魚は,消化酵素が他の魚より多い(強い)のです(青魚に酵素が多い理由は,高速で泳ぎ回る,つまり運動量が多いということと関係しています)。
これら,魚自身が持つ酵素のおかげで,魚醤やアンチョビ,塩辛など,人間にとってありがたい美味しいものが出来上がります。
酵素とは?
酵素というのは,ハサミ✂だと思って下さい。このハサミが魚のタンパク質をジョキジョキ切って一つ一つのアミノ酸にするおかげで,私たちは舌の味蕾で旨味を感じることができるのです(タンパク質のままでは大きいので,舌の受容体で旨味を感知できません)。
しかし,その反面,酵素が魚を分解し始めると,他の殺菌(腐敗菌)たちが食べやすいエサがたくさんできることになるので(分解される前は,小さな菌たちにとっては,大きくて硬くて食べにくいでしょ!),腐敗しやすくなるのです。ちなみに,魚醤やアンチョビ,塩辛などは,腐敗防止のために,塩分濃度を高くして雑菌の繁殖を防ぎます。
鯖をはじめとした青魚は,その酵素が多い(強い)ため,腐敗菌がはやくに繁殖してしまう結果,腐るのもはやいということになります。
先人の知恵~酢の力
そこでです,昔の人は,よく考えました。腐敗菌たちが嫌いな物でコーティングしてあげればよいんですね。そう,酢です。
酢というのは,酸性度が強い(pHが低い)状態なので,菌が生きられません。ですから酢そのものは,一生腐らないのです。その酢に鯖を漬けてあげれば,腐敗しにくい状態になるというわけです。
おかげで,私は,美味しい鯖寿司をこうしていただくことができています!鯖寿司の身が旨味いっぱいなのも,これまた酵素のおかげでもあるんですよね。
もちろん,焼くということも腐敗防止になりますね。焼けば,酵素は失活しますから,タンパク質の分解もストップしますからね。
発酵研究家/発酵翻訳家/発酵料理人:土方夕暉(札幌)~発酵への探究心と発酵愛は北海道No.1!と自負(^^)/